新米親父のパパ力向上メモ

2014年に第1子の、2018年に第2子の父親になりました

自宅NASのバックアップはAmazon S3かGlacierか

先日、自宅NAS(IOデータ LANDISK HDL2-A)が壊れたことをきっかけに自宅NASのバックアップについて検討している。

まずそもそもNASのバックアップが必要なのだろうか?
NASではRAID1で2個のディスクをミラーリングしている。
ということは1つのディスクが壊れても、もう1つのディスクに全てのデータが残っているということ。
ディスクが1つ壊れただけなら、バックアップは必要はない。
バックアップが必要になるのは火事や自然災害等でディスクが2つとも同時に壊れてしまったときだ。
滅多に起こりえない状況だが、それでも大事なデータだからバックアップした方が精神衛生上いいだろう。

周囲の人にそれとなく聞いてみたらAmazonのS3とGlacierという名前が出てきた。
そこでS3とGlacierについてAmazonのHPを確認したり、色々な人のレビュー記事を読んだり、無料会員登録してちょっと試してみたりした。



・概要
Amazonが提供する一般的なストレージサービス。
使い勝手がよい反面、Glacierと比べてストレージ料が高い。


・料金
料金の中で大きいのはストレージ料とダウンロード料
ストレージ料は1GBあたり3.3円とGlacierの3倍。
ダウンロード料は1GBあたり14円でGlacierと同じ。
アップロードは無料。


・まとめ
使いやすい。
普通のネットワーク・ストレージのように使える。

専用クライアントソフトは不要。
WEBからでも使える。

ストレージ料がGlacierに比べて高い。
しかしデータをダウンロードするときはGlacierと違って復元料が発生しないため請求金額がわかりやすい上に、Glacierよりも大分安くなる。


Amazon Glacier


・概要
Amazonが提供するコールドデータ(アクセスが発生しないデータ)向けストレージサービス。
ストレージ量が格安となる反面、いざデータをダウンロードする際には「復元」という処理に手間と金がかかる。


・料金
料金の中で大きいのはストレージ料とダウンロード料と復元料(詳細後述)。
ストレージ料は1GBあたり1.1円とS3の1/3。
ダウンロード料は1GBあたり14円でGlacierと同じ。
復元料は1GBあたり1.14円。
アップロードは無料。


・復元料
「Glacierを使うときは注意しろ」と言われる所以。
Glacierはデータをダウンロードするとき1)データの復元を要求、2)復元されたデータをダウンロード、という2つのステップが必要となる。
データの復元には4〜5時間ほどかかり、1時間あたりに復元した最大データ量 x 24 x 30 x 1.14円で復元料が請求される。
無計画にデータを復元すると高額な復元料を請求されかねない。
これを避けるためにはData Retrieval Policyというものを設定して復元するレートに上限を設ける。
しかしレートを下げ過ぎると復元料を抑えることができる反面、全データのダウンロードに何十日もかかることになる。

なおS3には古いデータを自動的にS3からGlacierへ移動する機能がある。
S3からGlacierへ移動されたデータをダウンロードする際にはやはり復元が必要になるが、なんとこのときの復元処理にはData Retrieval Policyが適用されないため、高額な請求がくる可能性がある。
自宅NASが故障して全データをダウンロードしたい時などに請求書が怖くて復元できなくなってしまうので、バックアップ目的でS3を利用するならこの機能は使わない方がよいと思われる。


・まとめ
ストレージ量が安い。
しかし自宅NAS故障時などにバックアップ目的でアップロードしたデータを全てダウンロードするような状況では、復元量が高額になる。

使いにくい。
データをダウンロードする前の復元処理に4〜5時間待たされる。
またWEBからではVault(データを格納する箱)の作成、削除しかできない。
データのアップロード、復元、ダウンロードはクライアントソフトから行う必要がある。
また請求が法外な金額にならないよう復元レートに注意する必要がある。

どのクライアントソフトを使うかはとても重要。
GlacierではMetadataのフォーマットが統一されていないため、あるクライアントソフトで作成したフォルダは別のソフトからは見えない。
あるクライアントソフトでアップロードしたファイルは別のソフトではファイル名が文字化けして拡張子も消える。
このため一度、使ったクライアントソフトをずっと使い続ける必要がある。
もしくはJavaPythonで必要に応じてクライントを自作する必要がある。
クライアントソフトはWindowsならFastGlacierの一択。
Macだと色々乱立していてよくわからない。
自作は面倒なのでお断りしたい。



まとめ


使い勝手の面でも料金の面でも「わかりやすいS3」、「わかりずらいGlacier」、ということになる。

Glacierの安さは魅力だけど、バックアップ用途で利用する場合はいざというときに全データをダウンロードする必要があるので復元料が怖い。
例えば何年か後に自宅NASのデータ3TBが消失して、ボケた自分や嫁、もしくは成長した子供が何も考えずにGlacierから全データをダウンロードして月末に復元料だけで3TB÷4時間×24×30×1.14円=61万円(概算)の請求書が来たとする。
これにダウンロード料の3000GB×14円=42000円を足せば約65万。
まずいよね。
S3ならダウンロード料の42000円だけで済む。

自宅NASはまだデータ量が少ないのでS3のストレージ料でもさほど痛手にはならない。
S3で数年くらい様子を見ようと思う。
勿論、S3からGlacierに自動で移動する機能は有効にしない。

これで我が家のストレージ問題は一段落かな。